楽譜は「お喋り」の設計図。抑揚の第一歩は?

前回、音楽は「お喋り」でできている、というお話をしました。

「距離感」や「熱量」、つまり「抑揚」こそが、音楽の言葉を形作ります。

では、その抑揚はどうやって形にすればいいのか?

今回は、楽譜から読み取るヒントを2つのステップに分けてお伝えします。

 

ステップ1:設計図を「徹底的に」再現する

まず大切なのは、楽譜に書かれた記号を「徹底的に」守ること。

「当たり前」と感じるかもしれませんが、実はここが最大の落とし穴です。

  • リタルダンドで急にブレーキをかけすぎる
  •  クレッシェンドの最初で、すでに音量がMAX
  •  p(ピアノ)やf(フォルテ)が、2音目からしか反映されていない
  •  スラーが、意図しないところで切れている

これらは演奏者なら誰もが経験する「あるある」ですよね。

作曲家が残してくれた「設計図」を精緻にトレースすること。それが、自然な抑揚への最短ルートです。

 

ステップ2:行間に隠れた「見えない強弱」を読み取る

「記号通りに弾いているのに、なんだかしっくりこない……」

そんな時に試してほしいのが、「楽譜に書かれていないニュアンス」です。

基本のルールはシンプル。

  • 音が上がる時は、少しずつ強く
  • 音が下がる時は、少しずつ弱く

同じ音が続くときは、その「次」の音がどう動くかを見て判断します。

これだけで、演奏がぐっと洗練され、「大人っぽい」表現に変わります。

⚠️ ここで2つの注意点!

  1. 「綺麗な坂道」を意識する
    5つの音が上がるなら、一気に強くせず、一歩ずつ階段を登るように。
  2. フレーズ全体の「枠」を超えない
    mp(メゾピアノ)の指示がある場所なら、音が上がっても「mpの中での強弱」に留めます。いきなりフォルテにならないよう、全体の配分が鍵です。

 

おわりに

(※リズムや拍子や終止形の例外については、反響があればまた詳しくお話ししますね!)

「見える強弱」と「見えない強弱」。

この2つを意識するだけで、あなたのお喋り(演奏)はもっと表情豊かになるはずです。

ぜひ、今日からの練習で試してみてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

執筆者プロフィール

吉田琢磨

ピアニスト/ピアノ講師。中学卒業後に渡仏し、パリ国立高等音楽院およびエコールノルマル音楽院で研鑽を積む。

イル・ド・フランス国際ピアノコンクール第2位ほか入賞。

現在は演奏活動に加え、指導やコンクール審査など幅広く活動している。

 

吉田琢磨 公式サイト