もし友人が、一文字も抑揚をつけずに『あ・り・が・とう・と・て・も・嬉・し・い』と喋りかけてきたら?ちょっと怖いし、嬉しさも伝わってこないですよね。
かといって、ちょっとペンを貸したくらいで『ありがとう!!!とても嬉しい!!!』と大声で言われても、びっくりしてしまいます。
音楽の演奏では、曲ごと、あるいは曲の中で、距離感と熱量を考えながら音で抑揚をつけていきます。
つい惹き込まれてしまう魅力的な演奏は、この抑揚のコントロールが抜群に上手いのです。
日常でも、その人が小さく一言喋るだけでつい耳を傾けてしまう……そんな経験、ありませんか?
「この曲は今、誰に、どんな距離感で話しかけているんだろう?」
そんな想像をしながら音楽を聴いてみると、また新しい景色が見えてくるかもしれません。
次回は、この「抑揚のつけ方」の具体的なコツについて書いてみる予定です。最後までお読みいただきありがとうございました。
執筆者プロフィール
吉田琢磨
ピアニスト/ピアノ講師。中学卒業後に渡仏し、パリ国立高等音楽院およびエコールノルマル音楽院で研鑽を積む。
イル・ド・フランス国際ピアノコンクール第2位ほか入賞。
現在は演奏活動に加え、指導やコンクール審査など幅広く活動している。